IN TO THE DARK

LAST DAY


秋が急ぎ足で通り過ぎ、木々たちが冬支度を始める11月中旬

大学近くの街路樹たちも衣替えの季節

緑一色だったそれはパリコレも真っ青な程、色とりどりの洋服で着飾っている


不意に頬を抜ける冷たい風に、少し寒さを感じながら俺は空を見上げていた

太陽の光に一面ブルーの青空
その中に雲の白さ―…

原色たちのコントラストと
時折響く学生たちのざわめき

俺は この季節が好きだった

何故かと問われても わからないが…ただ 心地良かった


『なぁにしてんのぉ?』


左耳に声が響く―…

反射的に声の方向へ視線を向けた

…だが
そこには誰もいない…

―俺は苦笑した

その声がリアルな訳がない
聴こえる筈の無い声
懐かしさと寂しさを含んだ その声…


俺は ベンチから腰を上げ
声の方向へ手を上げる


誰もいない空間…

だが、誰かが笑った気がした



『がんばれ』


また声が聴こえた

それは鼓膜では無く
心を震わす声…


不意に頬を一筋の涙がつたった

俺は拭(ぬぐ)う事をせず
再び空を見上げた


そこには
あの時と同じ―…

アイツの笑顔がある様な気がした

story.8
【LAST DAY】

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