IN TO THE DARK

LAST DAY
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夏と冬の中間にある季節―
【秋】

何故か物悲しさを誘う季節だ

俺は早番のバイト帰り
近くの公園で少し遅い昼食を取っていた

メニューは
コンビニの【おでん】と【にくまん】そして【コーンポタージュ】ホット

近づいてきた冬の寒さと
このメニューのコラボレーションは まさに絶品だ

【おでん】を口に頬張りながら 鮮やかな色彩を放つ街路樹に目を移すと すぐ側まで冬が近づいているのだと感じさせられる


「なぁにしてんのぉ?」

不意に聞き覚えのある声が鼓膜をくすぐる

反射的に声の方を向いて俺は一時、固まってしまった

「な、奈緒!?」

「うわっ、いきなり大きい声ださないでよぉ。」

目の前にいたのは
佐藤 奈緒だった

奈緒とは高校時代に1年程付き合っていた彼女だ

いわゆる【元カノ】というやつだ

「な、なんでお前がここにいんの?いつ東京にきたんだよ?」

「ん?さっき…っていうか【今】かな」


そう言いながら奈緒は 俺の隣に腰を下ろした

太陽の光を浴びて薄茶色に光るストレートヘア
触れたら折れてしまいそうな細い肩
鼻孔をくすぐる柑橘系の香り

「ねぇ、大根ちょうだぁい。」

そして…この間延びした声

どれを取っても俺が知ってる奈緒だった


「く、来るならくるで携帯鳴らしてくれりゃ迎えにいったのに…」

その時の俺は平静を装うと必死だった

「ん〜。いいじゃん別にぃ。こうして会えたんだからさぁ。」

一瞬 ドキッとした
心臓の鼓動速度が増してゆく

「…俺に…会いに…きた?」

恐る恐る聞いてみる…

「うん。それ以外 来る意味ないじゃん。」

嬉しかった
天にも昇る気持ちとは この事だろう

だが不意に心の奥がチクリと痛む

―…そうだ
俺たちは別れたんだ


【別れた】
この単語が 頭の中を回り巡る



『別れよ…』
あの時…
奈緒の口から溢れた四文字が胸を締め付ける


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