IN TO THE DARK

心霊写真
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場所は大学近くのファミレス
昼時前という事もあって店内に客は少ない。
その空間で松戸と生田は相対し議論を続けていた。
まるでゴジラ対ガメラだ。
まさにどちらも怪物。
下手な助教授クラスでは太刀打ちできない議論を介している


「分からない人ですね、アナタも。自分が言っている事が論理破綻しているのも気付かれていないんですか?」


「論理破綻?してるかな?君の中途半端な論理展開に比べたら、俺のロジックの方がまだイカしてる気がするけどね(笑」

生田は大袈裟に溜め息を吐きながら松戸へと視線を向ける。まだその瞳には余裕さが漂う。

「先程も申し上げましたでしょう?心霊写真の定義を。あなたが見せてくれた写真も全て説明つけられているじゃないですか。それとも、もう一度説明しなければ理解していただけませんかね?」

ニヒルな笑みを浮かべながら、生田はお得意の知識をひけらかす。
その表情をニヤニヤと見ながら松戸は一枚の写真を生田の前に滑らせた


「シミュラクラや露光反射の原理ね。それと光差関係の定理だっけ?もう聞き飽きたから繰り返さないでいいよ。確かにそれで九割は検証可能かもね。でもそれじゃ残りの1割は説明つけられない。ちなみにそれはデジカメ撮影した写真だから露光反射の定義は当てはまらない。顔でも無いから三点原理も外される。昼間だから突発的な光量変化も説明つけられない。さてこれを君はどう読み取るの?お得意の化学的見地からみたらどうなるのかな?」

その写真を、マジマジと見ながら生田は黙り込む。

俺も横から、その写真を覗き込む。

それは一見すると只の風景写真。雲一つ無いブルー一色の青空。そこに山々の緑色が映え絶妙なコントラストを生み出している。
心に響く素晴らしい風景写真だ。…ただソレは右上部に映る異様なものを除けばの話。


山あいの谷間から螺旋状に延びる白いもの。煙の様にも見えるが違う。良くみると巨大な人の腕にも見える。

だが、俺には合成にしか見えなかった。山と腕部分を良くみると色あいのコントラストが微妙におかしい。

…だが何故だろう
この写真から微かに嫌悪感を感じる。心霊スポットの入口に立った時の様な微かに感じる、あの独特の嫌悪感だ。


生田の解答を依然ニヤニヤしながら見つめる松戸。まさに不適な笑みだ。

暫く見つめた後、生田は重い口を開いた

「…合成じゃないんですかコレ?」

否定派が良く使う安易な解答…
確かに俺も合成だと思う。
だが松戸が満を持して出した写真だ。単なる合成写真である筈が無い。

だが松戸の口から出たのは思いもかけない解答だった


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