2/6ページ目 霊安室に入ると初老の女性がパイプ椅子に力無く座っていた。 アツムの母親だ。 俺は小さく会釈し純白のシートがかけられた親友の元へ歩を進める 簡素なベッドで目をあけながら眠る“アツム” 事故現場近くの山林で首を吊っているのを、山岳警備員によって発見されたそうだ 『俺、結婚するんだ』 そう言いながら照れ臭そうに笑うアツム。 その表情が瞼の裏に蘇る 子供が産まれた時も、「親父になったから俺も大人にならなきゃな」なんて気恥ずかしそうに笑う顔…そんな笑顔が今でも焼き付いている その笑顔が消え去ったのは2ヶ月前の事故からだ… アツムを迎えに行く途中の交差点…信号無視してきた鉄の塊が嫁さんと子供の命を奪った…あの事故 『俺が…俺が悪いんだ…俺が死ねば良かったんだ…俺が俺が俺が!』 どれだけ「違う」のだと否定しただろう 「オマエのせいじゃない」 何度、アイツにそう言い聞かせただろう だけど 俺たちの言葉はアツムには届かなかった 「おい?馬鹿じゃねぇのオマエ。いつまで寝てんの?早く起きろって…起きろっつってんだろうがッッ」 叫ぶことしかできなかった 言葉で否定しなきゃおしつぶされそうだった。 そうしなければ目から溢れる雫に全て肯定される気がした… [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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