IN TO THE DARK

病原体
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実家に帰った俺は両親への挨拶もそこそこに友人たちの待つ居酒屋へと急いだ。

一次会、二次会と会が進むごとに一人また一人と人数が減り、最後に残ったのは善之と俺、そして唯一の女性“ノン”だけだった。

午前1時、深夜の田舎
都会と違い歓楽街など皆無
あるとすればカラオケボックス、もしくはコンビニくらいだ。

行き場所を失った俺たちは、誰が言うわけでもなく母校へと車を走らせた。


急勾配の坂をエンジンを唸らせながら走る善之のシルビア。

不意に俺の耳が異音を拾った
エンジンのエキゾースト音の合間に、奇怪な音が聴こえる

聴こえないふりをすればするほど、それは徐々に鮮明さを増してくる

運転席の善之と助手席のノンは気づいていないようで、笑いながら談笑している


『・・なんだコレ』


音じゃない!
声だ!!


そう思った瞬間、ガクンと車体が揺れた。

何事かと思うと、善之が笑いながら弁明する。何やら間違えて急ブレーキをかけたらしかった。

その後は、その声も聴こえることなく無事に母校へと着くことができた。


高台にそびえ立つ深夜の校舎
だがそこに不気味さは無かった。ただ懐かしさだけが心にこだまする。 たった数ヶ月前まではここに自由に出入りできたのに今、出入りしたら不審者なのだ。その現実が俺の心に寂しさをもたらす。

掲揚台に腰かける二人も同じ感情なのだろう。表情から感慨にふけっているのが分かる。

視線をもう一度校舎へ向けようとした瞬間、俺はあるモノに目を奪われ、愕然とした。


それは掲揚台のポールに掲げられた校旗だ。誰かがしまい忘れたのだろうか、風に揺られバタバタとたなびいている。

別に掲揚台に校旗が掲げられているのは問題じゃない。旗を掲げらる為の器材なのだから。

旗が風にたなびいているのは問題じゃない。風が吹けばたなびくものなのだから。


おかしいのは・・
無風であることだ


無風であるにも関わらず、旗は力強くバタバタとたなびいている。


たかが2、3メートルの高さだけに強風が吹くことなどあるのだろうか・・仮にあったとしても俺たちに何の揺らぎも感じさせずに吹くことは可能なのか?


不意に背筋がゾクリとする
この感覚はヤバい

そう思い無理やりソレから視線を離した後、更に強烈なものが目の中に飛び込んできた。


・・屋上
何人もの人間がユラユラと揺れながらコチラに手招きをしていたのだ


「うおっ!!!」


開口一番、驚声を上げたのは善之だった。ノンもそれに続き叫声を上げる。


俺たちは車に乗り込み一目散にその場から逃げ出した


後方をみると屋上では尚もユラユラと揺れながら手招きをしているのが見えた









あれ以来、俺は昼夜深夜問わず母校へ足を運ぶことは無かった



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