【現代怪談vol.2】

中古車のオプション
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これは、本当にあった話です。長年乗っていた車が車検を迎えたのを期に、私は新しい車を買いました。中古車センターで見つけたその車は、黒のスポーツカー。値段の割に綺麗で走行距離も少なく、とても気に入って購入したのでした。ところがその車を家に持ってきた翌日、運転席に乗り込んで、妙なことに気付きました。助手席に、何本かの長い髪の毛が落ちているのです。一本手に取ってみると、少しばさついた真っ黒な毛。しかし、中古車センターで試乗した人のものかもしれない、とその時はたいして気に留めませんでした。
そのまま車のエンジンをかけ、職場に向かった帰り道のこと。私の自宅まで曲がりくねった山林を20分ほど走った所にありこの道は深夜にならずとも人通りがありません。毎日通る慣れた道ではあるのですが、この時はどうしたことか、身震いを感じました。「風邪引いたのかな……」そう思った、その瞬間でした。「はっ……?」私は、左側の視界に”何か”が写ったことに気づき、一瞬凍り付きました。「見てはいけない、見てはいけない……」とっさに自分に言い聞かせ、私はハンドルを握り締めスピードを上げました。しかしその時、パッと前方に白い影が走り、私は反射的に急ブレーキを踏みました。キィィィィー。凄まじいブレーキ音と共に車が停止し、前のめりになった時、「ぎゃーーーーー!」私は自分の声にならない声を聞きました。助手席ドアの外側に、真っ黒な長い髪を振り乱した若い女性が張り付いてこちらを睨んでいたのです。その髪と、今朝助手席で見つけた毛が自分の中で交錯してします。「早く車を発進させなければ」私は言いようのない恐怖と同時に、身の危険を感じ、慌てて車を発進させました。「入れて〜中に入れて〜」ドアに張り付いた女性が、窓ガラスを叩き始めました。その声は、か細くもどこか力強く、私は無我夢中でアクセルを踏みました。
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