【現代怪談vol.2】

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家に着いて、ハッと我に帰った時には、もうあの女性はどこにもいませんでした。きっと幻覚を見たのだ、私は疲れているんだ、そう自分に言い聞かせ、その日はすぐに床につくことにしました。しかし、部屋の灯りを消して、眠りに入りかけた時です。ペタン……ペタン……廊下から、妙な音が聞こえてきたのです。「連れて来てしまったんだ……!!」鳥肌が全身に立ち、冷や汗がどっと流れました。ペタン……ペタン……その音は、生身の人間の足音とは違い、水分を含んだような音です。「頼む、消えてくれ……」私は一心にそう祈りました。が、その音は段々私の方へ近づいて来ます。ペタン……ペタン……「やめてくれ〜!!!」恐怖のあまり、そう叫ぶと、私の頭の中に声がしました。「入れて〜中に入れて〜」私はもう半乱狂になり、とにかく知っているお経を全て唱えました……。気付いた時には、朝になっていました。やはり、疲れているため昨日の自分はおかしかったのだろうか。しかし、廊下に出た途端、また昨日の恐怖が鮮やかに蘇りました。なんと、玄関から私が寝ていた部屋の前まで、水跡のようなものが人間の足跡のようについていたのです。
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