二次創作

人形師は夢を観る。
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空に想ふは君の顔
思い出せない君の事
何処からかほつれていった私の心
何時からか絡まり始めた君の糸。



___人形師は夢を観る。___




「あー暑いぜ暑いぜ暑くて死ぬぜ」

突然入ってきた真っ黒の魔女が言う。
彼女の名前は霧雨魔理沙。
黒衣に金髪、西洋かぶれの田舎魔女。

「そんな恰好してるからよ。太陽に"焼いて下さいー"って言ってるようなもんじゃない。」

溜息をつきながら私は応えた。
とはいえ、内心少し嬉しかったり。

「だって魔女といったら"真っ黒"、だろ?コレは私のポリシーなんだ!」

「まったく、ポリシーだかポリゴンだか知らないけど熱中症には気を付けなさいよ」


"あんたは人間なんだから。"


「っ・・・!」
そういった瞬間、何故か彼女は唇を噛み、悲しそうな目をした。

「まぁいいわ、とりあえずコレ飲みなさい。」

人形達を使って、私は彼女にお茶を出した。
森の少し奥まった所で、珍しい薬草を手に入れたのだ。

「薬草煎じて、ちょーっと魔法かけて作ったのよ、そのお茶。」
私は指を振り、魔法をかけるようなそぶりをしてみせた。


部屋に立ち込める香り。
この香りには気持ちを落ち着かせる効果がある。
お茶から出る冷気は、中々冷めない。
この連日の酷暑には丁度良い。

味は・・・というとまぁなんともアレだが、その辺はブリーベリーエキスを抽出させたもので何とか誤魔化せた。

そのお陰で色はどす黒い紫になったのは言うまでもない。

「す、すごい色だな・・・」

「・・・とにかく飲んでみなさいよ。」


魔理沙は一瞬躊躇いを見せたが、カップの取っ手を握ると、中身を一気に口へと流し込んだ。

「・・・美味しい。」

驚きつつ目を輝かせた彼女は、更に驚いた。



「星・・・?」



私がこのお茶にかけたものは幻覚魔法だった。
彼女と、私にだけ見える、星空。
部屋は巨大なプラネタリウムとなる。
この空間には二人しか居ない。


星はぐるぐる回ると、月は沈みやがて朝日が昇り始める。

「・・・魔理沙」

私は静かに話し始める。

魔理沙は、目の前の幻覚を見ながらも私の話に耳を傾けているようだ。

「私は魔女で、貴方は魔法使い。似て比なるモノよ。感覚も違えば力も違う。限度の違いだってあるし、そして」

「生きる時間も違う。」

魔理沙は俯いて唇を噛み、またあの顔をしていた。

「勿論私の方が遥かに長い。貴方と過ごす時なんてほんの一瞬の夢でしかないわ。」

隣からは嗚咽が聞こえてくる。

「でも、だからこそ」

「夢で無かったと思えるように、貴方との"今"を過ごしたい。」





もう既に周りは私の部屋へと戻っていた。
隣に居るのは、夢幻に輝く流れ星。


「・・・ばか。」


そう言った彼女は私の胸へと飛び込んだ。







次に息をした時は
少しばかりブルーベリーの香りがして

そして口中に広がった。



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