1/1ページ目 空に想ふは君の顔 思い出せない君の事 何処からかほつれていった私の心 何時からか絡まり始めた君の糸。 ___人形師は夢を観る。___ 「あー暑いぜ暑いぜ暑くて死ぬぜ」 突然入ってきた真っ黒の魔女が言う。 彼女の名前は霧雨魔理沙。 黒衣に金髪、西洋かぶれの田舎魔女。 「そんな恰好してるからよ。太陽に"焼いて下さいー"って言ってるようなもんじゃない。」 溜息をつきながら私は応えた。 とはいえ、内心少し嬉しかったり。 「だって魔女といったら"真っ黒"、だろ?コレは私のポリシーなんだ!」 「まったく、ポリシーだかポリゴンだか知らないけど熱中症には気を付けなさいよ」 "あんたは人間なんだから。" 「っ・・・!」 そういった瞬間、何故か彼女は唇を噛み、悲しそうな目をした。 「まぁいいわ、とりあえずコレ飲みなさい。」 人形達を使って、私は彼女にお茶を出した。 森の少し奥まった所で、珍しい薬草を手に入れたのだ。 「薬草煎じて、ちょーっと魔法かけて作ったのよ、そのお茶。」 私は指を振り、魔法をかけるようなそぶりをしてみせた。 部屋に立ち込める香り。 この香りには気持ちを落ち着かせる効果がある。 お茶から出る冷気は、中々冷めない。 この連日の酷暑には丁度良い。 味は・・・というとまぁなんともアレだが、その辺はブリーベリーエキスを抽出させたもので何とか誤魔化せた。 そのお陰で色はどす黒い紫になったのは言うまでもない。 「す、すごい色だな・・・」 「・・・とにかく飲んでみなさいよ。」 魔理沙は一瞬躊躇いを見せたが、カップの取っ手を握ると、中身を一気に口へと流し込んだ。 「・・・美味しい。」 驚きつつ目を輝かせた彼女は、更に驚いた。 「星・・・?」 私がこのお茶にかけたものは幻覚魔法だった。 彼女と、私にだけ見える、星空。 部屋は巨大なプラネタリウムとなる。 この空間には二人しか居ない。 星はぐるぐる回ると、月は沈みやがて朝日が昇り始める。 「・・・魔理沙」 私は静かに話し始める。 魔理沙は、目の前の幻覚を見ながらも私の話に耳を傾けているようだ。 「私は魔女で、貴方は魔法使い。似て比なるモノよ。感覚も違えば力も違う。限度の違いだってあるし、そして」 「生きる時間も違う。」 魔理沙は俯いて唇を噛み、またあの顔をしていた。 「勿論私の方が遥かに長い。貴方と過ごす時なんてほんの一瞬の夢でしかないわ。」 隣からは嗚咽が聞こえてくる。 「でも、だからこそ」 「夢で無かったと思えるように、貴方との"今"を過ごしたい。」 もう既に周りは私の部屋へと戻っていた。 隣に居るのは、夢幻に輝く流れ星。 「・・・ばか。」 そう言った彼女は私の胸へと飛び込んだ。 次に息をした時は 少しばかりブルーベリーの香りがして そして口中に広がった。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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