二次創作

秋の夜長に声は遠く
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腐りかけの葡萄の粒を一つ、指で弾く。

ぐちゅりと音を立ててそれは指を飲み込んだ。


「姉さん、また下らない事を。」


妹は蔑みの眼で私を見る。
私は哀みの眼で妹を見返す。
いつもの事だ。

「今年の夏は長すぎるわ。」
「今年の冬はもうすぐね。」

「「秋は何処へ?」」

噛み合わない会話の中に、一つ二つほどの重なる言の葉。
其れさえも枯葉。


「月が綺麗ね。」
「貴女とは違ってね。」

皮肉を少々。

「暦の上ではもう秋よ。」
「この暑さはまだ夏ね。」
「春眠暁を覚えず、になるかもしれないわね。」
「何故?」
「夏だ夏だと思って私達が冬眠している間に暁になっているのよ。」
「夏に冬眠とはおかしなものね。」
「比喩よ。貴女には風情というものが無いのね。」
「ロマンチストで現実を見ない貴女とは違いますの。」



夏の延長線上に立つ、秋の夜長に。



さぁ、もう少しだけ遊びましょうか。





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