1/1ページ目 腐りかけの葡萄の粒を一つ、指で弾く。 ぐちゅりと音を立ててそれは指を飲み込んだ。 「姉さん、また下らない事を。」 妹は蔑みの眼で私を見る。 私は哀みの眼で妹を見返す。 いつもの事だ。 「今年の夏は長すぎるわ。」 「今年の冬はもうすぐね。」 「「秋は何処へ?」」 噛み合わない会話の中に、一つ二つほどの重なる言の葉。 其れさえも枯葉。 「月が綺麗ね。」 「貴女とは違ってね。」 皮肉を少々。 「暦の上ではもう秋よ。」 「この暑さはまだ夏ね。」 「春眠暁を覚えず、になるかもしれないわね。」 「何故?」 「夏だ夏だと思って私達が冬眠している間に暁になっているのよ。」 「夏に冬眠とはおかしなものね。」 「比喩よ。貴女には風情というものが無いのね。」 「ロマンチストで現実を見ない貴女とは違いますの。」 夏の延長線上に立つ、秋の夜長に。 さぁ、もう少しだけ遊びましょうか。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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