二次創作

蒼の夢
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君が眠るその時に、私は何が残せるだろう。





___dream.___




思い返してみれば。
私は守られてばかりだった。
何だかんだいって、いつも彼女に助けられていた。

「おーい、夕飯持ってきたぞー」
「またあの姫にやられたのか!?」
「おはよう、妹紅」

彼女の言葉が、次々と私の頭を流れていった。
おはよう、慧音

聞こえてるか?
おはよう、慧音。今日はいつも通りの晴天だ。朝御飯も出来てるんだ、少し失敗したけど。だからさ、ほら、早く。

起きてくれ。

「なぁ、慧音……」

返事はない。途端に私の胸は虚無感で締め付けられた。しかし、微かに聞こえてくる彼女の呼吸音が、唯一の救いだった。

恐ろしい程に青白く、痩せ細ってしまった腕。かつてのように私を抱き締めてくれる事はもう二度と無いだろう。
硝子玉のように透き通る眼は、宙を眺めている。私の事はもう見えていないだろう。
死体のように横たわる彼女は、まだ、生きている。死体のように、生きている。
彼女の小さな手を握り、胸に耳を当て、鼓動を確かめた。弱々しくも、響いている。少しの安堵と溜息。

永遠なんてもの無いのかもしれないな、そんな事を考えながら、握っていた手を解き、私は外の空気を吸いにいった。


◇◇◇


「………妹紅」

愛しい人の名前を呟いてみる。
私は、もうすぐ死んでしまう。お前をひとり残して。また、孤独にしてしまう。

ごめんな。

何か、してやれた事はあったか?ただ、傍にいるしか出来なかった。許してくれ。

悲しませるのは嫌なんだ、だからせめて

せめて、私のこの存在を

「…無かった事に。」


◇◇◇


風が冷たい。
何故、私はこんな寒い中、外で突っ立っているのだ?

……思い出せなかった。

「まぁいいか。」

特に気にも留めず、私は部屋へ戻った。布団が敷かれたままだった。まだ暖かい。
寝ぼけてたのかな、どうも永い夢を見ていた気分だ。



おやすみ、妹紅。


何処かで、そんな声が聞こえた気がした。



END

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