1/1ページ目 君が眠るその時に、私は何が残せるだろう。 ___dream.___ 思い返してみれば。 私は守られてばかりだった。 何だかんだいって、いつも彼女に助けられていた。 「おーい、夕飯持ってきたぞー」 「またあの姫にやられたのか!?」 「おはよう、妹紅」 彼女の言葉が、次々と私の頭を流れていった。 おはよう、慧音 聞こえてるか? おはよう、慧音。今日はいつも通りの晴天だ。朝御飯も出来てるんだ、少し失敗したけど。だからさ、ほら、早く。 起きてくれ。 「なぁ、慧音……」 返事はない。途端に私の胸は虚無感で締め付けられた。しかし、微かに聞こえてくる彼女の呼吸音が、唯一の救いだった。 恐ろしい程に青白く、痩せ細ってしまった腕。かつてのように私を抱き締めてくれる事はもう二度と無いだろう。 硝子玉のように透き通る眼は、宙を眺めている。私の事はもう見えていないだろう。 死体のように横たわる彼女は、まだ、生きている。死体のように、生きている。 彼女の小さな手を握り、胸に耳を当て、鼓動を確かめた。弱々しくも、響いている。少しの安堵と溜息。 永遠なんてもの無いのかもしれないな、そんな事を考えながら、握っていた手を解き、私は外の空気を吸いにいった。 ◇◇◇ 「………妹紅」 愛しい人の名前を呟いてみる。 私は、もうすぐ死んでしまう。お前をひとり残して。また、孤独にしてしまう。 ごめんな。 何か、してやれた事はあったか?ただ、傍にいるしか出来なかった。許してくれ。 悲しませるのは嫌なんだ、だからせめて せめて、私のこの存在を 「…無かった事に。」 ◇◇◇ 風が冷たい。 何故、私はこんな寒い中、外で突っ立っているのだ? ……思い出せなかった。 「まぁいいか。」 特に気にも留めず、私は部屋へ戻った。布団が敷かれたままだった。まだ暖かい。 寝ぼけてたのかな、どうも永い夢を見ていた気分だ。 おやすみ、妹紅。 何処かで、そんな声が聞こえた気がした。 END [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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