二次創作

リンダリンダ
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どうやらそれは僕の中を静かに蝕んでいたらしい。



「水毒?」

聞き慣れない言葉だ。
何かしらの病である事は分かる。

今日は、竹林から医者が来ていた。
いや、今日"も"と言うべきか。
近頃、彼女は毎日のように我が香霖堂へ来ていた。
外の世界の医療機器が見たいとかなんとか。
確かに置いてはいるが、実際はどれも使い方が分からないので結局毎回そのまま雑談して帰ってしまう。
そのついでに、ここ最近の体調不良を訴えてみた。
頭痛、鼻水、目まい、冷え、浮腫。
この5点を伝えると、彼女はうーん、と少しばかり首を傾げ

「水毒じゃないかしら。」

そう言った。
そして今に至るわけだ。

「ちょっと失礼」

続けて彼女はそう言うと、徐に僕の腹を軽く叩く。
ぽちゃん、ぽちゃんと音がした。
そのままつつつと指を進る彼女。くすぐったくて思わず身震いしてしまう。
こうして女性に身体を触られるのは初めてだ。
ちょっと照れてしまう。
彼女の指は脹脛で止まった。
そしてそのまま脹脛を握る。
立ちっぱなしだった分けでは無いが浮腫んでいる。
少しばかり痛い。

「うん、やっぱりそうだわ。水分取ってても運動してないわね?それとジュースばっかり飲んでたでしょ。あと、ココも駄目ね。寒いわ。貴方、氷精でも連れ込んでるの?それとも亡霊?何方にしろ冷房が効き過ぎ。汗をかかないから、水分が体外に排出されない。だからこうして体の中に水が溜まってさっきみたいな症状を引き起こすのよ。」

「貴方一人の身体じゃないんだから・・・」

一頻り言い終わると、彼女は大きな薬箱を机の上に載せると、その中から草やら液やらを混ぜて異臭のする薬を作り出した。
茶色く、どろっとした薬が出来上がる。

つんと鼻を刺す匂い。思わず顔を顰める。

「僕、液体の薬は最も苦手なのだが。」

良薬口に苦しとは言うものの、そう文句を付けると、彼女は薬箱(どうやら二重になっていたようだ)の二段目奥から、小瓶に入っているピンク色の液を取り出した。
此方は桃のような匂いで、香りが鼻腔から喉を通り甘味が伝わってきた。
そしてその液体を先程の薬に投入する。

「本当はコレ、幼児用のものなのよ?」

眉を下げ、クスクスと彼女は笑う。
これまた照れる。

「はい、じゃあ飲んでみて?」

一口。
微かに苦味は残っているが、まぁ飲めない事も無い。
そのままゴクリと一息で飲む。

「ふぅ、美味しかったよ」

少しばかり皮肉を込めて。

「あら、光栄ですわ。明日もまた作りにくるから。」

またね、と手を振る彼女。
ドアから零れる光に照らされ銀髪が煌めいている。

パタン、と戸の閉まる音。



少しだけ切なくなって
ドクンドクンと鼓動が速くなった。
彼女は毒でも入れたのだろうか。




どうやら僕は別の病にかかったようだ。


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