二次創作

green eye'd monster.
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思い出せない。

どうして自分は今此処に居るのだろう。

頭が働かない。意識は在るのに、眠っている気分だ。



暗い。
ジメジメと湿っていて、黴臭い。
私は赤い橋の上に立っている。
何となく見憶えがあるような気がした。


洞窟、だろうか。


僅かに光が差し込んできている。
上からか?下からか?前?後ろ?
分からない。とにかく、ぼんやりと明るい。白く、薄い光のカーテンは波打っている。

ゴツゴツとした岩が周りを囲んでいて、冷気が漂っている。寒い。
橋の下にはどこからか水が流れ込んできていて、小さな川になっている。

後ろに進めば出口なのか
はたまた前に進めば入り口なのか
いや、そもそもそんなものは存在しているのだろうか

この橋の向こうには何があるのだろう
どうして私は此処に?

私は、

私は、

私は?



私は何だ?



私 とは何だ
私の中の私が欠如している

思い出せない。
頭の中がぐちゃぐちゃに掻き混ぜられている
しかしそれは液体となり統率のとれたもので
混乱というより、秩序ある記憶というべきだ。

私は以前の私とは違うと思う
例えば昨日の私だとか、そんな小さな変化ではない。
大きな変化のはずだ。
確固たるものは無い。しかし絶対にそうなのだ。
何が違うのだろう。
例えば私の心
以前とは違うもののようだ。

今、私の胸を満たしているものは何と形容すべきだろう
熱く燃え盛る心
冷たく凍った心
その二つが同居している

あぁ、そうだ

「嫉妬」だ。

対象のモノがあるわけではない。
「嫉妬」と「私」が一つになっている、当たり前のように其処に存在している違和感。

私自身が嫉妬の塊で

それが「変化」なのかもしれない。


「妬ましい」


私はそう呟いていた。
ごく自然に出てきた言葉だ。

「妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい」

一つ一つ紡ぐ事で「以前」の「私」とゆっくり融合し、合致していくようだった。

「妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい」

その言葉が私をイノセンスへと変えていく気がした

私の罪はなんだろう

イノセンスへと変わる私の中で、もう一つの記憶がカタカタと歯車を廻し滑車を伝って蘇ってくる。
ぐわんぐわんと視界が躍る
ぎゅんぎゅんと耳鳴がする
過去へと吸い出されていく。



刹那の静寂。



最初に、聴覚を手に入れた。
遠くで誰かの声が聞こえる。
騒がしい。
次に、視覚を手に入れた。
どうやら、私はまた橋の上に立っているようだ。
徐々に、嗅覚、触覚、と感覚を取り戻していった。

どこか懐かしい感じがした。

橋を行き交う人々に、私の姿は見えていない様だった。
私の横に、一人の少女が立っている。
微笑ましい顔で人々を見守っていた。
「橋守」と言われる、読んで字の如く橋を渡る人々を見守る者だ。
少女は、私の様な気がした。
何故だかは分からない。
でも、隣に居る少女は私なのだ。
現に、感覚を共有している。
少女はさっき、人とぶつかった。
私は、誰ともぶつかっていないのに、ぶつかったような僅かな衝撃が走った。
其処と此処に在るのは紛れも無く「私」なのだ。
それでも何かが違うような気がするのは何なのだろう

頭がぼーっとする
人々は右へ左へ流れて行く
同じ様に見える風景
しかし行き交う人は全く違う
不思議だ




ふと





胸を貫く様な感覚が私を包んだ。
この感情は、
「嫉妬」

何故だ?
私は、行き交う人を見ていただけなのに?

隣の少女に目をやる。
先程までの優しげな表情は何処へやら。
全くの別人になっている。
眉間に皺を寄せ爪を噛み、しきりに 妬ましい 、と呟いていた。
先刻までの私の様だ。

少女の視線の先には一人の男性。
そしてそのすぐ横に付いている一人の女性。

嫉妬。それともう一つの感情。

愛情。

この少女、もとい私はこの男性が好きなのだ、愛しているのだ。
同時に隣の女性を妬んでいる。



そうだ、あぁ、そういえばそうだ。

総て思い出した。

私はこの2人を殺した。

そして自らもこの橋から飛び降りて死んだ。


次の瞬間、隣に居た筈の少女は目の前の2人に飛びかかり


刺し殺していた。


辺りがざわつく中、少女は私の真横からそのままダイブした。
思わず橋から身を乗り出す。
落ちていく私は瞳を閉じていて
ゆっくりと、でも物凄いスピードで
着実に地面へと。

あぁ、あぁ。



________




「貴方の罪は」

緑髪の裁判官が言った。

「私の罪は」

妖怪となった私は言う。

嫉妬に狂う妖怪へと変わった私はこの場所で
本当の妖怪となっていた
忌み嫌われる地底の妖怪へ。

それが私の罪滅し。
そして私への褒美。





貴方の罪を数えましょう。





上と下を繋ぐ

嫉妬を操る妖怪

緑を纏った少女はきっと

悲哀の愛に溺れて死んだ。




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