2015年02月16日(月) 【父の背中と私】 バレンタインデーでしたね。 皆さん、いかがお過ごしでしょうか? 今回は、バレンタインデーなんかぶっ飛ばすエピソードをお話ししたいと思います。 あれは私が18歳か19歳の時、自動車教習所で坂道発進したときのこと。ずっと忘れていた昔の出来事を、急に思い出したのでした。 まだ私が幼い頃、家族でよくドライブに出掛けたのですが、坂道があると父は必ずこう言ったのです。 「大変だ! 定員オーバーだ! 坂道を登れない!」 迫真の演技です。厳格な父が言うから尚更です。 私と二人の弟は、これはただ事ではないと察し、「どうしたの?」と運転中の父に問いかけます。 「車が重くて進まないんだよ、皆で押せ! 押せ!」 大人になった今になれば、何を馬鹿なことを言っているんだと鼻で笑ってしまいそうだけど、当時は必死だったのです。 私と弟二人は、必死にシートごと父の背中を押していました。 たまに手を抜いて片手で押そうものなら、「あっ、誰か手を抜いてる!」と、バックしてしまうこともある徹底ぶり。でもまあ、(押せば)大体 すんなり坂道を登っていました。 問題は、なぜ父がそんなことをしたのかと言う点です。 あの厳格な父が。なぜこんなユーモラスな一面を垣間見せたのか、大人になった今、尚更 理解できなかったのです。 教習所で5回も6回もエンストさせながら、坂道発進の手順と父のユーモラスな一面が頭を駆け巡っていました。 しかし、その答えがついに最近分かったのです。帰省中、久しぶりに家族でドライブしたときのこと。 「押せ! 押せ!」坂道で父が言います。もう20歳過ぎたのに? と私は思いましたが、弟はノリノリで押していました。 坂道を登りきって、父はぽつりと「力、強くなったなあ……」 多分、父なりの不器用なコミュニケーションだったんでしょう。あるいは、いつか来るこういう日のための、壮大な伏線だったんでしょう。 切なくなりました。背中、押せばよかったなあ、と。 帰り道に同じ坂道を下った時に、「チン寒、チン寒」と嬉しそうに連呼している父を見て、どうでもよくなりましたけど。 23:14 [トラックバックする] [最新順][古い順] トラバはありません <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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