2015年11月05日(木) 【逆説】 バター猫のパラドックスを知っていますか。 猫を高いところから落とすと、必ず足を下にして着地する。 バターを塗ったトーストは、必ずバターが塗られた面を下にして着地する。 それでは、もしもバターを塗ったトーストを、バターを塗った面を上にした状態で猫の背中にくくりつけ、高いところから落とすと……? もしも猫が足を下にして着地すれば、バターを塗った面は上になったままだし、バターを塗った面を下にして着地すれば、猫は背中から着地することになる。 これがバター猫のパラドックス。 「どっちが下になると思う?」 喫煙所越しに、不意に彼が問いかけたので、私はちょっと考えてしまう。 とは言え、最終学歴高校卒業(後に自動車学校卒業)の私に、理系で大学院まで出た彼を納得させるような答えは到底 出せそうにない。 「難しく考えなくていいよ、さらっと2択で」 さらっと。私は頭の中で実験を思い浮かべる。 高いところから落とされるバタートーストをくくりつけられた猫。 スタッ。猫が足を下にして着地する。 「あっ、猫が勝った」 「そう」微笑ましいと言わんばかりの顔をしながら、彼が煙を吐き出す。 「答えは色々あるんだけどね。俺も始めは猫だと思ったし……でも、ある学者が『着地しない』って言い出したんだよ」 「猫が顔から落ちるとか?」 「『バターの面が下になったり、猫の足が下になったり、そうやって回転し続けて、着地しない』って言うんだ」彼は2本目の煙草に火をつけるかどうか迷っている。「あくまで机上の空論に過ぎないけど、面白い考え方だよね」 結局、彼は2本目を吸い始めたので、私はまた頭の中で実験をしてみる。 底の無い空間を、回転しながら落ちるバター猫は、もう着地をしてくれなかった。 07:32 コメント(0) [コメントを書く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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